深く潜れ

Let me settle my mind boy

音楽劇/コインロッカー・ベイビーズ 鑑賞記

橋本くん、河合くん。座組のみなさん。大千秋楽までの長い間、お疲れ様でした。ハシとキクともお別れですね。私は東京で2公演観てきましたが、できるならずっと終わらないでほしい、何回も見てみたいくらいの良い舞台でした。改めて思い出そうとするとまだ完全にロスから抜け出せていないみたいですが、今は、橋本くんがこの舞台を通して見つけたかもしれない「新しい歌」をコンサートで聞かせてくれるのを楽しみにしています。

 

幕が上がる前に原作を読み終えた感想は、まず「これをどうやって舞台で表現するのか?」登場人物をキャストの方々に当てはめようとしても、全く想像がつかない。

観劇当日になっても「ジャニワぶりの自担☆」みたいな浮かれた気分にはなれなくて、期待と不安でぐるぐるして、ちょうど6月の梅雨空みたいな不安定な気持ち。

 

一幕が静かに始まったとおもいきや、すぐに度肝を抜かれた。オムツにスタイ姿のダンサーさんたちに対して、ハシとキクは白スキニーだけを身に着けて、コインロッカーに捨てられた子供達の中で唯一生き残ったという特別な存在に見えた。なるほど、こう来たか、と思う暇もなく一気に危険でクレイジーな世界観が動き出す。

どうしても原作と比べてしまうのだけど、省略されたシーンも歌やセリフで表現されていたので、違和感はあまりなく観ていられたような気がする。もちろん一度目と二度目と時間を置いた今では、少し感想が変わったと思うけど。やっぱり鉄は熱いうちに打たないとダメですね。ちなみに今は2度目の観劇後に書きなぐったメモを見ながらブログを書いています。センスプに記事が載ることが分かった日の昼公演でした。すでに懐かしいですね。

 

 アネモネとキクとの出会い。アネモネ役の昆さんは制作発表で見てから、顔立ちがアネモネにしては甘すぎるのではと思っていたのだけど、見事になりきっていました。恋する普通の女の子っぽさ、芯の強さ。ハシのところに行こうとしてキクが鉄条網を飛び越えるのを見て、「友達になった」といったばかりなのにキャーキャー言って飛び跳ねるところが、たった今恋したんだなってわかって可愛くて。自分はワニの国の使者だと言う、現実にはいないようなちょっと変わったところも魅力的でした。

ところで大鰐のガリバーって、結局あのぬいぐるみだったんだろうか。ポスター見たときは真田くんがワニ役かと思ってたよ(擬人化)。あと河合くんが最初心配していたキスシーン、アネモネのお尻ばっかり見てたら終わってた。だから2度目はハシとニヴァの方を見るように気を付けました。

 

薬島で再開したハシとキクのシーン。ハシがキクに「自分はホモだ」と告白してDと会わせた時のキクの顔が嫌悪感たっぷり。化粧をして歌い踊りながら服を脱いでいくハシ。この時歌っている『青い舌』という曲とあわせて妖艶でとても好きなシーン。音源だけで聴いてもドキドキするだろうな。切実にサントラ出してほしい。

ハシが舌を切る前と後の変化は、1度目に見たときの方がわかりやすかった気がした。場数を踏むうちにベストな歌い方に寄せて行ったのだとしたら本当にすごい学習能力だなって思う。デパートの屋上で催眠術をかけられてからだんだん狂っていく様子も、『青い舌』を歌い踊る時の色気も、凄味が増していっていた。ハシとキクが異なる場所にいても舞台上で同時に演じている箇所があるのだけど、ハシが歌を歌っているときに服役中のキクが乗った船が大波にのまれるシーンは、まるでハシがセイレーンのようで恐ろしくも美しくて特に印象的だった。

 

ハシとキクはまるで光と影のように背中合わせ。同じ時期にコインロッカーに捨てられたこと以外は共通点がなく、血のつながりもないのに双子のように育ったのは不思議だなと思った。同じ両親に育てられたのに皮肉だ。ハシが歌手として成功すれば、キクは実の母親を撃って服役してしまう。キクの脱走が成功すれば、ハシは歌えなくなってしまう。険しい表情が増え狂っていくハシと、開放感と野心に満ちた表情で駆け抜けるキク。一度通路側の席で真横を河合くんが走って行ったのですが、横顔かわいいかい?とか言ってる子とは思えませんでした。横顔、精悍で美しかったです。

ハシはニヴァもお腹の子供も殺せなかった。精神病院で出会った母親も殺さなかった。「あの音」が聞けなくても、殺さなくても生きていく強さを手に入れた。一方、キクはダチュラを手に入れてすべてを壊そうとしている。そんな対照的な二人のシーンで幕を閉じる。あのシーンはこうで、あの人はこうで、と色々な解釈ができる舞台だった。私は原作も舞台も同じように「希望に満ちていると見せかけて、実は救いのない物語」だったのではと思っている。これに関してはいろんな人の感想や解釈を聞いてみたい。これを書き終えたら流し見していた様々な人のブログを読むつもり。楽しみである。

 

 

全体を通して、音楽劇という手法やバンドメンバー、座組や上演のタイミング等、色々な要素がフィットしたんだろうなと思わされました。なぜか2度とも同じような座席だったので、2階からとか反対再度からとか視点を変えてみてみたかった。

カーテンコールでは狂気のハシから橋本くんに戻っていて安心しました。ジャニワぶりの自担…。上演期間にはいろいろあったけど(まだ引きずるかって感じですね。すみません)、橋本くんがこの舞台に関われたことは誇りに思ってほしい。ハシロスを通り過ぎたらまた、かわいくて格好いい橋本くんに会いに行くからね。